産婦人科医の尾西芳子です。
女性のヘルスケアを専門とし、周産期やがんの治療、不妊治療など専門にとらわれずトータルで診察しています。
「PMS」って最近になって聞くようになりましたよね。
今までは生理前になると不調だけど、原因も対処法もわからない方が多く、「PMSです」と言って受診される方は全くいらっしゃいませんでしたが、最近はPMSの認知が広がったことで、少しづつ受診される方も増えてきました。
本日はPMSの症状や原因、対処法についてご説明します!
PMSって?
PMSは生理の10日前から3日前くらいにみられる心身の不調で、症状は人によってまちまちでむくみや腹痛、胸の張り便秘といった身体の症状が強い人もいれば、イライラや落ち込み、眠気や倦怠感などその数は200種類にも及ぶといわれています。
PMSの最大の特徴は生理が始まると3日以内に治まることで、生理が始まると「今までのイライラやだるさは何だったのかしら」というくらい、すっとなくなってしまいます。
生理以降も続くようであれば、ほかの原因が隠れていることも考えられるので、うつ病や、糖尿病、甲状腺のホルモンなどについて調べることもあります。
年齢の相関はありませんが、研究報告では20代後半から30代に悪化すると言われています。
社会環境要因も大きいため、子育てや仕事が忙しくなる時期とも重なるようです。
私のクリニックで診断に活用しているPMSチェックシートをご紹介します。
このPMS、ちょっとした不調で済めばよいのですが、
その時期になると身体も心もしんどくなり学校や仕事を休んでしまったり、家庭内でもいつも家族に当たり散らしてしまうなど、
社会生活に影響が及ぶようだと自分も周りもつらいので、早めに婦人科に相談に行ってみましょう。
PMSの原因はむくみだった!!
PMSの時期に、「むくみ」が気になったことはありませんか?
最近はPMSの原因の一つが「むくみ」だと分かってきました。
いつもはすぐに消える靴下の跡が1時間たっても消えない、夕方になると足がパンパンになって靴がきついという状態は要注意。
脚だけでなく全身のむくみが便秘や頭痛、またイライラとも関係しているという報告もでてきています。
PMSのおすすめ対処法
むくみがPMSの原因の一つと分かったので、
PMSの対処法として以下のような生活習慣の改善が有効と言われています。
①ウォーキングやジョギング、スイミングなどの有酸素運動
②タンパク質、ビタミンB6、カルシウム、ビタミンDといった栄養素を取り入れた1日3回の食事。特に朝食を取ること。
③睡眠をきちんととる。目安は0時までに寝ること。
また、むくみのひどい方は塩分にも気をつけましょう(日本人女性の1日の塩分摂取基準値は6.5gですが、現在の摂取量の平均は8-10gと高めです)
治療としてはピルや漢方薬、サプリメントなどを使用します。
特にむくみが強い場合はピルの中でもむくみに効くタイプのものや、こちらの漢方薬(五苓散、当帰芍薬散)、またサプリメントを使用します。イライラや落ち込みなどメンタルの症状が強い場合はそれに合った漢方薬を使います。
まとめ
PMSと生理痛、両方合わせると月の半分の期間つらいにも関わらず、こんなことで病院に行っていいの?我慢すれば…と思っている方も多いと思います。不調の時期があるけれどPMSと気づいていなかったという方もまだまだ多いと思います。
まずはPMSチェックシートを試してみたり、自分の身体について振り返ってみる機会を作ってみましょう。
自分のサイクルに気づくことでその時期は仕事を詰め込みすぎない、デートは入れないなど自分でできる対処もあります。
適切な治療をすることで少しでもつらい期間を減らし、仕事もプライベートも輝ける時期を増やしましょう。