貧血の症状
ここでは、貧血の症状について説明します。
鉄欠乏性貧血
様々な原因の貧血がある中で、最も良く起こりやすいのが鉄欠乏性貧血です。日本の貧血患者の3分の2を鉄欠乏性貧血が占めているほど、身近な貧血なんです。
鉄欠乏性貧血の原因は、なんらかの理由で体内の鉄が不足してしまうことにあります。頭痛、めまい、だるさ、疲れやすさなどが、鉄欠乏性貧血に見られる症状です。
脳貧血(起立性低血圧)
貧血ではありませんが、鉄欠乏性貧血があると引き起こされやすいのが起立性低血圧です。日常では脳貧血と呼ばれることもあります。起立性低血圧とは、ふと立ち上がったときに、過度に血圧が下がる状態です。症状は、ふらつき、めまい、錯乱、視界に霧がかかったようにかすむ、などが見られます。
これらの症状は、横になって休むとおさまります。ふらっとなった際に、転倒や失神してしまうと、大けがにつながる恐れがあるので注意が必要です。
生理中に貧血になってしまう原因
どうして生理中に貧血になってしまうのでしょうか?あらためて、『生理って何?』について考えてみましょう。
生理は通常25日〜38日に1度の周期で起こる、子宮内膜からの出血です。生理の平均的な出血量は50〜60mLもあります。したがって生理がある女性は、ケガをしなくても毎月定期的に出血がある状態なのです。1年間に換算すると600mL以上にも。「ペットボトル1本分以上の出血がある」と考えると、結構多いなと思えますよね。
貧血症状の簡易チェック方法
自分で簡単にできる、貧血の簡易チェック方法をご紹介します。
涙ぶくろの下を引っ張り、あっかんべーのポーズをとってください。すると、下まぶたの裏側が見えるでしょうか?通常は、赤く細かい編み目のような毛細血管が見えるはずです。その部分を眼瞼結膜(がんけんけつまく)といいます。もし眼瞼結膜が白っぽかったら、貧血のサインかもしれません。
この簡単チェック法で貧血かどうかが分かるのは 7割程度です。隠れた病気が原因の場合もあるため、貧血が気になる場合は診察を受けてくださいね。
参考:https://isahaya.jcho.go.jp/wp-content/uploads/2014/02/1407hohoemi1.pdf
生理中の貧血対策
生理中のつらい貧血。自宅でできる貧血対策をお伝えします。
食生活を見直して鉄などの栄養素をしっかり補給
女性は1日に約0.8mgの鉄を損失しています。また生理によって、1日あたりに換算すると、さらに約0.5mgの鉄が損失しているのです。
普段の食生活は乱れていませんか?貧血対策のためには、毎日失われる鉄を食事からしっかりとることが必要です。また鉄の吸収を助けるために、ビタミンCも一緒に摂ることがポイントですよ。
参考:厚生労働省|e-ヘルスネット>貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう
鉄分を多く含む飲み物もおすすめ
食べ物から鉄を摂取するには、調理が必要な場合も多く、毎日続けるのは難しいかもしれません。そんな時は、サッと飲める飲み物から鉄を摂ることがおすすめです。
鉄を多く含む飲み物には、ココア、青汁、豆乳があります。コンビニやスーパーで売っている鉄分ドリンクなども、手軽においしく飲めるので利用してみましょう。
生活習慣の見直し・貧血対策で注意したいこと
貧血対策で気を付けたい、生活習慣についてお伝えします。
①無理なダイエットはしない
バランスの取れた食事を、3食とることが理想です。たとえば、鉄の吸収を高めるにはビタミンCが必要ですし、赤血球を作るには葉酸やビタミンB12が必要です。体の機能を正常に維持するには、豊富な栄養素をまんべんなく摂ることがとても重要なのです。カロリー制限だけで体重を落とそうとはせずに、バランスの良い食事を心がけてくださいね。
②タバコは控える
タバコの煙に含まれるニコチンには、ビタミンCを壊す・胃酸の分泌を抑制するといった作用があります。ビタミンCや胃酸は、体内で鉄を吸収するために必要な成分です。これらが減ると鉄の吸収まで抑えられてしまいます。さらには喫煙により、血液を作るのに必要なビタミンB12が減ってしまうと、赤血球の数が減り貧血につながるのです。喫煙習慣がある方は、まずはタバコの本数を減らしてみてはいかがでしょうか。
③コーヒー・お茶を控えめに
コーヒーやお茶に含まれている、渋み成分であるタンニンは、鉄の吸収を妨げる作用があります。通常の量であれば、問題はないとの報告もありますが、貧血の症状が気になる人は、摂り過ぎに注意しましょう。食事の際はコーヒーやお茶を一緒に飲むのは避け、出来ればお水を飲むようにすると良いですね。
食生活や生活習慣以外が要因の場合は医療機関の受診を
食生活や生活習慣を整えても、症状が改善しない場合は、別に原因があるかもしれません。そんな時は、迷わず医療機関を受診しましょう。鉄不足になる原因には、大きく分けて3つあります。
①吸収の低下
胃切除手術を受けたり、胃酸過多を患ったりしている人は、鉄の吸収が悪くなり鉄分不足になりやすいです。またダイエットや偏食をしていると、体内に入る鉄の量が少ないため、鉄不足の原因になります。
②需要の増加
妊娠中や授乳中の女性は、血液や母乳を通して赤ちゃんに栄養を与えるため、鉄の需要が増加します。鉄の需要が増加しても鉄の摂取量が変わらないと、鉄不足になってしまうのです。
③損失の増加
生理、婦人科疾患、慢性消化管出血があると、血液が失われると同時に鉄も多く失われる可能性があります。
まとめ
貧血の症状や、生理中に貧血になりやすい理由と対策を解説しました。鉄分摂取を意識しながら、バランスの取れた食事を中心に生活を整えていきましょう。気になる症状があるときは、病院に行くのも忘れずに。