今回お話を伺うのは、モデルの宮城舞さん。多くのファッション誌でモデルとして活躍しながら、プライベートでは2018年に第一子の男の子、2021年に第二子となる女の子をご出産。出産後も変わらずキャリアを重ねながら、SNSなどでは二児の母として等身大の子育ての様子も発信しています。そんな宮城さんに、キャリアと子育て、お子さんとの生活のことや、母になっても変わらず自分らしくいる秘訣を聞きました。
今が一番大変かも…。仕事と育児、限られた時間で要領よく
「子供の時から小さい子のお世話をすることが多くて、自然と“いつかは自分の子が欲しいな”と思っていました。30歳になった頃、結婚や出産をする子が周りに増えてきて、そろそろかな…と考え始めた時期にお付き合いしていたのが今の主人。2人とも子供が欲しいという想いは同じだったので、その意志を確かめ合った上で結婚をした、という感じでした。
1人目の時はつわりやマイナートラブルもなく、毎日1時間ウォーキングをして、妊娠9ヶ月でオーストラリア旅行をして、とかなり元気な妊婦。仕事も産む直前までやって、産後も3ヶ月くらいで復帰しました。とにかく暇が嫌いなので、家にいることができなくて、仕事がない時も何かしら予定は入れていました。
でも逆に、下の子の時は4年空いたからか、子供の性別が違うからか、妊娠中の体調から1人目とは全く違っていて。つわりが酷くて寝ても起きても具合が悪く、おまけにその時コロナ真っ只中。外に出て人に会うことも思うように出来ず、仕事も休んで、ずっと家に引きこもっていました。
出産後は、その反動かのように『いつでも働きます!』と宣言して、産後1ヶ月後くらいで復帰。そのためにも0歳から保育園に入れたいと考えて、妊娠中から保活をしていました。
子供ができる前と後では、必然的に働き方も変化しました。平日の子育ては基本私がワンオペでやっているので、今の仕事は子供達を保育園に送ってから、お迎えの時間までだけ。仕事との両立は、正直、今が一番大変かもしれないですね。毎日本当にバタバタで、家を出るまでにもう疲れてる…。
特に子供が体調を崩した時は、保育園から電話がかかってきた瞬間に“あー、終わった”みたいな(笑)。そのタイミングで仕事が入っていると、子供をみてくれる人を探すのが本当に大変。もちろん心配だし、でも仕事の時間は迫ってくるしで毎回ヒヤヒヤです。
でも、働ける時間が限られてくるので、常に先を考えて動くようになったのはいい変化かも。今までは締め切りギリギリにならないとやらないタイプだったけど、ここでやるしかない!っていう場面が多いので、要領は良くなった気がします」
子育ては情報戦!自分から声をかけてママ友作りも
「子供を産む前は仕事も遊びも100%。“結婚するまでに遊びきる”と決めていたので、後悔がないくらい自由に過ごしてきたけど、まぁそれでもやっぱり、子供を産んでからも遊びたくはなります(笑)。
だから休日は旦那さんやベビーシッターさんに頼んで、運動や美容系のメンテナンスをしっかりして…夜に友達とディナーに出かけることもありますよ。ランチもいいけど、やっぱりたまに夜に出かけると気分が上がる!
ベビーシッターって、昔はお金持ちの人だけのものっていうイメージがあったけど、今は区によっては助成金が出るところもあるし、誰でも使いやすくなっている。ストレスを溜め込むのが一番良くないので、世の中のお母さんたちにもそういう制度をどんどん利用して、自分の時間を作ってほしいなと思います」
「育児って、情報戦だと思うんです。学校の評判しかり、ベビーシッターの助成金しかり、声を大にして言っていない制度も実はいっぱいある。ママ友のネットワークを広げて情報をキャッチするのは、子育てをしやすくするためにすごく大切なことだなと思います。
私の場合、もともと友達だった子が出産してママ友になって…というパターンはけっこうあるけど、地域のママ友を作る機会がなかなかなかった。そこで同じマンションで小さいお子さんを連れているママに、私から話しかけて友達になってもらいました。駐輪場で自転車を停めてる時に、『LINE教えてもらっていいですか?』って(笑)。
普段は人見知りするタイプだけど、何かあった時に助け合えるし、地域の人しか知らないことっていっぱいあるので、勇気を振り絞って声をかけました。おかげで知らなかった情報をたくさん共有してもらえているし、持つべきものはご近所のママ友です!」
子育てが終わった時にも、自分らしく輝き続けていたい
「疲れてお洒落をする余裕がない日も、もちろんあります。朝は特に時間がないから、子供たちを保育園に送る時はいつも寝癖をニット帽で隠して、上下スウェットスタイル。お迎えは撮影帰りなどに行くことが多いので、園の先生には『いつも朝と雰囲気が違いますね』って言われています(笑)。そんな感じで、朝や家にいる時は結構オフモード。でも、友達とランチに行くとか予定がある時は、自分のモチベーションを上げるためにメイクもファッションもちゃんとしています。別にキレイなママでいたいとかそういうわけじゃなくて、あくまでも自分のためにやっています。
産後、2人目のほうが体力も体型も戻るのが遅くなってしまって。痩せるスピードが落ちたのをきっかけにエステに通い始めて、そこから体質改善を意識するようになりました。酵素玄米を食べたり、サプリメントも積極的に取り入れたり…内側からキレイを目指すようにしたら、免疫もすごく上がった気がするし、睡眠の質も高まった気がします。
子育てって、たぶん18歳くらいでほぼゴールみたいなものじゃないですか。そう考えると、うちは上の子が今5歳なので、これがあと4回続いたら終わっちゃう。
十数年後、子育てを終えて“自分のための人生”が戻ってきた時に、ボロボロの姿ではいたくないなって思うんです。『あの時もっと頑張ってればよかった』って後悔はしたくない。歳を取ることは楽しみだけど、老けたくはないし、そのための努力は惜しみたくない。子育てをしていると人生が本当にあっという間に過ぎていくので、余計にそこは意識しています」
仕事も子育ても“固定概念”を取り払って、自分の感覚を信じる
「子育てでも仕事でも、どちらも大切にしているのは“変化を恐れないこと”。飽き性なので、今の自分に飽きちゃう時がけっこうあるんです。昔は“今の自分じゃないと、ファンの人は私を好きじゃなくなっちゃうかも”って不安に思うこともあったけど、今は年齢とともに変わっていく骨格に合わせてメイクや服装も変えてみたり。むしろ変化を楽しむようにしています。
子育ても、2人の子供を育てているからこそ、月齢によって対応の仕方がどんどん変わっていくのをすごく感じています。0〜2歳くらいまでは“あやす”ような感覚だったのが、4、5歳になってくると怒るのも褒めるのも、すごく言葉を選ばなくちゃいけない。
先日、上の子と2人でディズニーランドに行く機会があり、その時にリュックを持って行くか行かないかで言い合いになったんです。絶対に必要ないので『ダメ』とだけ言い続けていたら、息子が『どうして僕のことを信じてくれないの』って。そこでハッとして、なぜ必要ないか、他の荷物を一緒に持ってシミュレーションをしながら伝えたら、ちゃんと納得してくれました。
私は自分が厳しく育てられてきたこともあって、つい“しっかり怒らなくちゃ”と思いがちだけど、子供の性格も子育てのやり方も、みんな違って当たり前。今は育児本やネットでも沢山の情報が溢れているけど、そこで得たものを子供に押し付けて、思い通りにいかないとイライラしちゃうし焦っちゃう。“育児はこうあるべき”という固定概念は取り払って、子供との信頼関係と、自分自身の感覚を信じることが一番大切なのかなと思います」
Photo:Hanamura Katsuhiko
Text:Hikasa Reina
Hair Makeup:Tsujimura Yukie